Q.木質系屋内建具の反りに悩んでいます

<滋賀県高島市・TMさん(73歳・男)>


 05/03/31に新築した注文住宅で、暖房室と非暖房との仕切り木質系屋内建具が、特に片引き戸で壁に擦って開閉が困難になると同時に、閉めたときキャッチ金物が上手く機能しなくなりました。建築会社を通じ建具販売店ルートで対応していただきましたが、根本的な解決には至りません。
 そこで建具メーカーに申し入れたところ、次のような返答がありました。

 「当該製品」に関しましては、木質製品のため、室内外の温度差・湿度差が著しいと云う厳しい使用環境下では、扉の耐反り能力を超えてしまいますので、製品だけで反りを解決することには無理があるケースがあることをご理解下さい。引戸やドアなどによって仕切られた2つの空間に極端な温度差や湿度差があり、反りが発生した場合は、お部屋の換気や空調などを合わせて対処していただく事が非常に有効です。

 小生といたしましては、反りは製品の不具合から生じているものと考えていて、反らない製品の要求をお願いしていますが、一向に対応してくれそうにもありません 。小生宅の使用環境は、極端なものではなく通常の日本における平均的な環境と自認しています。メーカーの言い分は「木質系室内建具とは、反りが出てあたりまえ、反りが出ないように対応して使いなさい」と言っているように聞こえます。




A.アドバイスいたします

HQ住宅研究所 FAS本部
代表 福地 脩悦
ホームページ:http://www.fas-21.com/

 ちょうど1年を経過した時期だと思われます。建具に限らず、家は竣工してから1〜2年間にわたり、構造体、仕上げ材、建具なども含めて性能定着する期間です。木製建具も家の構造体が落ち着くまで、本件のような不具合を生じさせることは珍しいことではありません。

 確かに建具は、温度と湿度の変化で反りが生じたりの現象が起きます。しかし、本件においては、開閉が困難になるなどと容認の範囲を超えていると思われます。まして、製品の不具合を居住環境のせいにするなどもってのほかです。しかし、大企業の建具メーカーはサラリーマン集団ですので、回答された見解は想定の範囲といえるでしょう。

 いずれ、構造体と仕上げ材の収縮が定着してまいりますと、建具の反りも馴染んでくるものです。その間において、建具メーカーより建築した施工者は居住人の不便を最小限に抑えるような対応を行うべきでしょう。質問者も施工者と上手に対応して建具も含め、メンテナンスを気持ちよくさせるような環境を維持しておくのが賢明です。




A.<北海道虻田郡・take chanさん(会社員・50歳・男)>

「暖房室と非暖房との仕切り木質系屋内建具が、特に片引き戸で壁に擦って開閉が困難になると同時に、閉めたときキャッチ金物が上手く機能しなくなりました」。

 そもそも、非暖房室、暖房室があることが問題だと思います。たとえ滋賀県とはいえ、温度差は無視できないのでは? あたかもバイメタルのように、建具が反っても、なんの不思議もないと思いますが?

「『当該製品』に関しましては、木質製品のため、室内外の温度差・湿度差が著しいと云う厳しい使用環境下では、扉の耐反り能力を超えてしまいますので、製品だけで反りを解決することには無理があるケースがあることをご理解下さい。引戸やドアなどによって仕切られた2つの空間に極端な温度差や湿度差があり、反りが発生した場合は、お部屋の換気や空調などを合わせて対処していただく事が非常に有効です」。

   というメーカーの見解は、なんの問題もないと私は思います。私も、きっと同じことを言うでしょう。このメーカーさんはずいぶん言葉を選んでいるようですが。

「反りは製品の不具合から生じているものと考えていて、反らない製品の要求をお願いしていますが、一向に対応してくれそうにもありません 。小生宅の使用環境は、極端なものではなく通常の日本における平均的な環境と自認しています」。

 その要求に100%答えられる、木質系建具は無理だと思います。多かれ少なかれは反るでしょう。それを少なくしたり、反りに強い物は可能、というだけでしょう。
 極論を許していただけるなら、温度差がある間仕切りでは、木である以上は必ず反ります。ましてや、非暖房室側には結露して水分を含んで、反る原因を増やしてしまうでしょう。それが逆に言えば、「本物」の木である証拠だともいえると思いますが?
 平均的な使用環境とは? 逆に聞いてみたいと思います。時代と共に家に求められる性能。そして、得られている性能には、隔たりがあるのではありませんか?
 少なくとも、ここ最近の家は暖房室、非暖房室があることは、避けるべきことと認識していますが?

「メーカーの言い分は『木質系室内建具とは、反りが出てあたりまえ、反りが出ないように対応して使いなさい』と言っているように聞こえます」。

 そのとおりです。少なくとも、記されている環境下では、当たり前だといえます。 




A.<北海道虻田郡・take chanさん(会社員・50歳・男)>

>> 「木だから反って当たり前」とそんな開き直りとも取れることを言う業者がいることをとても残念に思います。

 「開き直り」という言い方は、たいへん心外です。私は、開き直りなどしてはおりません。論点が外れてはおりませんか?

1.”暖房室と非暖房との仕切り木質系屋内建具が・・・”
 この状態で、反りが「無」はあり得ないと言っているのです。
2.”小生宅の使用環境は、極端なものではなく通常の日本における平均的な環境と自認しています。”
 通常の使用環境では、無いのでは?と言っているのです。少なくとも、最近の常識的な考えでは無いと言えると思います。

   温度差があるところにあるバイメタルに「曲がるな」と言っているのと、同じことです。全館暖房が理想ですし、少なくとも、非暖房室、さらに、それを建具で締め切る使い方は、少なくとも昔の常識ではあっても、現在の、最近の新築の建物には非常識です。

>> 諦めずになんとか交渉してみてはいかがですか?

 このことには、異論はありません。聞く耳を持った、交渉をおすすめします。




閉じる