Q.高気密高断熱と換気システムを検討中ですが…

<群馬県高崎市 NYさん(主 婦 55歳 女)>


 はじめまして。住宅建設に向けて勉強中です。
 ところで質問なんですが、高気密高断熱の家では雨戸の開閉等で窓を開けた時、問題はないのでしょうか? あと我が家では熱交換型換気システムを検討中ですが、毎月の電気代がどれだけかかるのか、システムの内容と電気代の内訳を教えていただけたら参考になると思うのですが…。
よろしくお願いします。




A.アドバイスいたします。

(有)センチュリーハウス研究所
代表・橋 政孝
TEL 011-593-0412

<面内方向の傾斜>と<面外方向のねじれ>

 まず、高気密高断熱住宅の窓の開閉についてですが、窓の開閉は全く問題ありません。高気密高断熱の意味を考えてみてください。高気密は外との隙間を少なくすること、高断熱は断熱性能を良くすることで、どちらも目的は、室内が外気の影響を受けにくくし、室内の温度を安定させるためのものです。ですから、冬は、雨戸の開閉で窓を開けると、瞬間的に室内の気温は下がりますが、窓を閉めると直ぐに元の気温に戻ります(室内の空気より、床・壁・天井等が持っている蓄熱エネルギーの方が遙かに大きいためです)。それと、高気密の住宅は、特に室内の計画換気をきちんと行う必要があります(室内にいつも新鮮な空気を取り入れることが必要です。換気が悪いと、空気がよどんだりして、シックハウス症候群の問題にもなります)。外の温度が適温の時に窓を開けっぱなしにすることは、非常に良いことです。

 次に熱交換換気システムについてですが、消費電力は各社まちまちですが、だいたい100ワット程度でしょう。仮に100ワットとしますと、0.1kw×24時間×30日=72kw/月、仮に電気代1kw当たり25円としますと1800円になります。それと、熱交換換気本体には、新鮮空気、汚染空気それぞれにフィルターが付いていて、3ヵ月程度で掃除が必要になります。掃除のしやすい機種を選ぶことも大事です(フィルターが詰まると、換気性能が落ちます)。

 24時間計画換気の必要性について、お話します。今までの木造住宅は、家の隙間がかなり多く、機械換気をしなくても、自然と換気がされていました。しかし、冬寒く、夏暑い住宅で、住み心地はけして良いとは言えませんでした。そこで住み心地を良くするために、高気密高断熱の住宅が造られるようになりました。確かに、高気密高断熱にすることにより、外気の影響を受けにくく、室内の温度は安定するようになりましたが、隙間風の入る量が極端に減った分、室内の空気が汚染されたままの状態です。この汚染空気を外に排出し、外の新鮮空気を取り入れるのが換気装置です。どうして室内の空気が汚染されるかと言いますと、人が居れば呼吸により酸素を消費しますし、周りの建材および家具等からは化学物質が飛散しています。ガスレンジを使用しますと、酸素を消費して、二酸化炭素と水蒸気を出します。ですから、室内の空気は常に汚染されているのです。これらのことをふまえて、きちんとした24時間計画換気が必要になります。

 最近は、化学物質過敏症の患者さんが増えています。高気密高断熱だけを考えて建てている方が多いことが上げられます。これからの住宅において、室内の快適性を考えるとき、高気密高断熱は当然必要になりますが、室内の空気のことも十分に考え、きちんとした24時間計画換気を行ってください。




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